11月17日
視察2日目は、デュッセルドルフ市の地域医療を担う重要な医療機関である聖ドミニクス病院を訪れました。主に同市のライン川西岸地域の医療を担う総合病院です。病院の概要説明、病棟、病室の見学に加えて、集中治療施設や精密検査施設などの見学も行いました。日本ではなかなか見学が不可能だと想像しますが、我々がそのまま集中治療室に入って、医師からの説明を受けることもできました。意識のある治療中の患者さんからも声をかけられたりと、驚きの連続でした。
緊急、および一般病棟の後は集中治療室です。ただ、私が思っていた集中治療室とは少々面持ちが違っていました。そもそもその場に見学者が入れること自体に驚きました。
次は外来と精密検査です。
外来では診察待ちの患者さんを一人も見ることはありませんでした。実際に待合室はほんの数名分の椅子しかありません。看護士さんに伺ったところ、予約診療が徹底しているため、患者さんを待たせることはまず無いとのことです。日本では半日待ちも当たり前なので、こういう運営は、是非見習いたいものですね。
最後は診断の要である、血液検査ラボです。施設は院内ではなく離れた市街地区にあり、広範囲から血液を集めて集中管理しています。日本でこのようなラボを見る機会が無いので比較できないですが、日本国内の最新ラボと比較すると、設備はやや古いそうです。
全体を通しての印象ですが、病院施設についてもラボについても設備としては、日本国内と比較するとやや遅れている気がしました。病院施設が古いということもあるのでしょうが、そこは否めません。一方で、病院運営については先進的であるようにも思えました。
その根拠は、まず病院内でバタバタと忙しそうにしている人がほとんどいないこと。そして患者を待たせないこと。この二点です。余裕のある医療環境は、やはり重要だと思います。日本国内の総合病院では、何時間も待たされることが当たり前になっています。しかし、よく考えてみると、そんなにお客を待たせる仕事は他にはありません。実際、医師とのカンファレンスを予約しておいても、必ず1時間くらいは待たされます。患者を待たせても何とも思わない事が問題なのではないかと思います。
日本の医療は、世界有数の優良な医療であることは認めますが、果たして病院の運営は本当に患者さんの立場になったものになっているのか、今一度検証して欲しいと思いました。
続く
NM